身も蓋もない茂吉

小池光『茂吉を読む 五十代五歌集』

ミユンヘンにわが居りしとき夜ふけて陰の白毛を切りて棄てにき
(これは五十代の歌ではないが)

くれなゐの林檎がひとつをりにふれて疊のうへにあるが清しも

あかつきの光やうやく見ゆるころすゑたる瓷(かめ)のなかに糞を垂る

以上二首、歌集『石泉』